相談者:主婦(37歳)
子供:長女(8歳)、次女(5歳)
相談内容:最近、小学校2年生の長女が、朝ご飯を食べた後に嘔吐してしまいます。
もともと食が細く、食べさせることにずっと苦労してきました。
低体重で産まれ、現在も成長曲線の平均値にギリギリ入るか入らないくらいの体重で、身長も低めです。
ご飯、お粥、パン、コーンフレークなど、色々試しましたが、どれもあまり積極的に食べようとせず、先月くらいから朝ご飯を無理に食べさせると、時々もどすようになってしまいました。
吐くのは朝ご飯の時だけなので、学校に行くことに何かストレスがあるのかと思って学校にも相談したのですが、教室では毎日楽しそうに生活しているし、給食も小食でゆっくりではあるけど、毎回ちゃんと食べているとのことでした。
夕方のおやつは楽しみにしていて、しっかり食べますし、夜ご飯はその日によって量はまちまちですが、何とか食べます。
食育では、朝ご飯は必ず食べさせましょうというのが決まりですし、体も小さいので何とか食べて欲しいと思うのですが、私が食べさせることに必死になりすぎていて、それがプレッシャーになっているのでしょうか。
ちなみに、妹は何でも気にせず食べる子なので、食事面で困ったことはありません。
とにかく今は、朝ご飯をどうすればいいのか分かりません。
幼稚園児や小学生のお子さんを持つ親御さんから、朝ご飯をよく嘔吐するという相談を受けることは、実は珍しいことではありません。
考えられる原因としては、胃の発達具合など子供の身体的な問題や、何か目に見えないプレッシャーやストレスを受けているなどの精神的な問題、この両面を検討しなくてはいけないと思います。
・母親の緊張が子供に伝わると、子供の問題はかえって悪化する可能性が大
・毎朝の、食べた、食べなかった、吐いた、吐かなかったに動揺しない
・吐いてしまった時、一番しんどいのは子供自身
・「成長と共に嘔吐は減り、いずれなくなるから大丈夫。」と自分にも子供にも言い聞かせる
まずは、朝ご飯は絶対に食べなければいけない!というお母さん自身のプレッシャーを解き放ってください。
もし吐いてしまったら、「苦しかったね」といって、淡々と処理する。
朝ご飯をなかなか食べなかったら、「学校に行く時間になるから、○時○分になったら片付けるね」と時間を決めて、食べないことを怒ったり後からグチグチ言わずに時間がきたら自然に下げてしまう。
このように、決めてしまいましょう。
朝ご飯を食べない日があったって、何も悪くありません。
大人だって、食欲のない朝はあります。
朝ご飯は食べた方が良いという知識、学習があるから、大人はそれでも無理に食べることができますが、経験の浅い子供には分からないことです。
たまには朝食抜きで学校に行き、午前中にお腹が減って給食が待ち遠しくて仕方がない体験や、勉強に集中できない経験をさせてみることだって大事です。
・朝の忙しい時間で、家族全体がイライラした雰囲気になっていませんか?
→少し余裕をもった時間配分を心がけてみてください
・友達関係で悩んでいたり、学校で大きな行事が控えていたりしませんか?
・習い事で疲れていたり、ストレスになっていたりしませんか?
→休みの日に子供の話をゆっくり聞く時間を設けて、不安を言葉にできる雰囲気を作りましょう
・絶対に食べなさい、食べきりなさい、というプレッシャーを与えていませんか?
→たまには残しても仕方がないし、食べられない日があっても問題ありません
子供の胃の構造は、大人より食べ物を嘔吐しやすい形と言われています。
相談者のお子さんは、体が小柄とのことでしたので、その事も考慮してあげたほうがいいように思います。
また、昔からずっと「ご飯を食べさせる」ことに苦労してきたとのことですから、それだけお子さんにも常に、ご飯を食べなければならない、というプレッシャーが積み重なってきていることが予想されます。
今回のことをきっかけに、親子でプレッシャーから解放されましょう。
朝食べられなかったけど、夜ご飯をしっかり食べられればいいとか、今日はあまり食べなかったけど、昨日ちゃんと食べてるからよしとしようとか。
こんな感じでゆるく考えてください。
毎日毎食、完璧に栄養を摂らせよう、ご飯を食べさせようとしないことです。
1週間単位で、バランスよく様々な食材が食べられていれば、問題ありません。
そして、食事の事に限らず、子供が不安に思っていることや、心配していることを安心して話せる雰囲気、時間を作ってあげると、子供は自らストレスを解消する力を発揮します。
今はそういった親子の時間が必要なように感じます。
では最後に、朝ご飯のプレッシャーから解放され、子供が自ら食べる意欲を取り戻すために役立ちそうな具体的アイデアを、いくつか紹介します。
ただ、今回紹介したようなアドバイス、アイデアを全て実践しても、あまりにも嘔吐が減らない場合は、何か別の問題が隠れている可能性も考えなくてはなりませんので、かかりつけの小児科医に相談することをおすすめします。
・パンかご飯かなど、メニューを自分で決めさせる
→あまりにも種類を増やすと朝からお母さんが大変なので、2択、3択で充分
・自分が食べられると思う量を子供に判断させて、取り分けてあげる
・兄弟、姉妹で半分こするよう、大皿で渡して、自分たちで食べたい量を決めさせる
・固形物がのどを通りにく子供の場合は、ミキサーでミックスジュースだけでもOK
→野菜、果物をバランスよく入れる。バナナ、牛乳、はちみつなどを入れれば飲みやすい
・朝、いつもより少し早く起きて、軽い体操など体を動かす活動をした後に朝ご飯を食べる
・なるべく家族全員で食卓を囲み、いただきますの挨拶をして、楽しい雰囲気で食べる
・ゆで卵の皮むきをさせる、みんなのパンにジャムをぬるなど、子供が楽しく取り組めそうな朝ご飯の準備の手伝いをお願いし、食べる意欲を高める
(2013/12/11 食育指導士・相楽まりこ)