相談者:主婦(29歳)
子供:長女(3歳2ヶ月)
相談内容:3歳2ヶ月の女の子です。とにかく食べ物の好き嫌いが多くて困っています。肉魚類もダメ。葉物野菜もダメ。小さく切ったものを他の料理に混ぜても、しっかり見つけてしまいます。ホットケーキやお好み焼き、カレーなどにはミキサーですり潰した野菜を入れていますが、すり潰した野菜しか食べなくなるんじゃないかと心配です。来年から幼稚園に通いますが、給食をちゃんと食べることができるかも心配です。
子供の好き嫌いの問題はどの家庭にも多かれ少なかれあると思います。
ただ、あまりにも嫌いな食材の種類が多かったり、食が細かったりすると、料理を作る母親はすごくストレスを感じてしまいますよね。
ただ、相談者のママさんは、ミキサーでお野菜を細かくして料理に入れたりして、すごく工夫されているし、十分頑張っていらっしゃるので、そんなに落ち込まないでほしいな、というのが率直な感想です^^
では、子供の好き嫌いの壁にぶつかった時、親はどうその壁を打ち崩すか、はたまた回避するのか、いくつかの方法を紹介します。
ちなみに、ここで紹介するのは相談者のお子さんが3歳であるということを踏まえた内容です。
離乳食の頃やもっと大きくなってからの好き嫌いに関しては、また別で相談があった時に紹介します。
・味覚に敏感な子供は、初めて食べるものを嫌がるのはある意味当然。
・大人以上に匂いや味付けに過敏だし、食感が気に入らないだけで食べられない時もある。
・栄養の大切さや食事の重要性を、子供が大人と同じレベルで理解するのは難しい。
・誰もが同じような量を食べるわけではなく、子供一人一人にとっての適量があるもの。
・自分が食べるかどうかで一喜一憂する親を見ると、子供はかえって意地になって食べなくなることがある。
・「食べさせられる」という強制感の強い雰囲気の食卓だと、子供に健康的な食欲がわきにくい。
大人と同じ目線で好き嫌いの克服に取り組もうとしたら、必ず行き詰ると思います。
「何が何でも残さず食べなければならない。」とか、「完璧な栄養バランスで毎食食べなければならない。」という考えは今すぐ手放しましょう。
この世に出てきてまだ3年程の子供が相手です。
ちゃんと目線を下げて、3歳児になった気持ちで食事というものをとらえてみると、少し気持ちが軽くなると思います。
子供の気持ちに寄り添ったら、次は、子供が苦手なものでも食べてみたくなる『動機』をたくさん与えてあげましょう。
ここからは、そのお子さんの個性に合わせたアイデア勝負です。
・子供に選択肢を与え、何が食べたいかメニューを一緒に考える。
・食事を作るお手伝いをしてもらい、自分で作ったという喜びで食欲を高める。
・買い物に一緒に行って、チャレンジしてみたい食材がないか聞いてみる。
・親族やお友達など近しい人たちで集まり、みんなで子供が苦手な食べ物をおいしそうに食べる姿を見せる。
・子供が好きなキャラクターや動物などの形を利用して、食べ物をその形にして出してあげる。
・「一口原則」として、嫌いな食べ物が出たら、とりあえず一口食べてあとは残してもいいと伝える。
・何でも食べると、子供が好きな活動(スポーツ、読書など)がより上手にできるようになる力がつくと説明する。
・子供の憧れの人物の食生活を例に挙げて、嫌いな食材も上手に食べていると説明する。
強制的に食べさせられても、子供はちっとも嬉しくありません。
自ら「食べよう」とチャレンジし、「食べられた!」という達成感を得られる経験が何より重要だということを常に念頭に置いて、そのためのアイデアを絞り出していきましょう。
なお、色々あるアイデアの中でも意外とうまくいくのが、お友達の影響です。
相談者のお子さんはこれから幼稚園に通うとのことなので、きっと幼稚園でお弁当や給食を食べ始めると、食べられるもののレパートリーはグッと増えると思います。
野菜嫌いの子供が幼稚園に通い始めてから克服できたという話はよくありますし、実際、我が子も、幼稚園でお友達がお弁当のピーマンを食べていたのを見て、「ピーマンが食べたい」と自分で言い出したこともありましたから!
その夜、ピーマンの肉詰めを作ってあげたら、ペロッと食べて、すごく満足げ、自慢げな顔をしていましたよ。
強制的に食べさせられても、子供はちっとも嬉しくありません。
では最後に、嫌いなものにチャレンジする子供をサポートする親の姿勢について、いくつかポイントをまとめました。
毎食毎食、食べた食べなかったの呪縛は自ら断ち切って、中立の立場で見守ってあげてくださいね。
・怖い顔で食べる姿を見張らない!
・無理やり口に押し込まない!
・嫌いなものに対しては、1.匂いを嗅ぐ、2.少しなめてみる、3.ひとかけらだけ食べてみる、のスモールステップを設けて、ワンステップでも克服できたら褒める!
・嫌いなものを食べるロールプレイングを遊びの中に取り入れてみる!
(「○○ちゃんの苦手なニンジンがありますよ~。あーんできたらすごいな~。」などといって、食べる真似をして遊ぶ。)
・初めから残すことが見込めるのであれば、残った料理はママがおいしそうに完食する!
(そのためには、ママの食事量もあらかじめ計算して少なめにしておく必要あり。おいしそうに食べることで、次は食べてみようという子供の意欲につながるし、食事を残さないことの大切さも伝えられる。)
(2013/10/28 食育指導士・相楽まりこ)