相談者:主婦(31歳/妊娠3カ月)
相談内容:待望の第一子を、ようやく授かる事ができました。
現在、妊娠3カ月です。
妊娠はとても嬉しいのですが、今は想像以上の悪阻(つわり)に毎日苦しんでいます。
食べたいと思える食材がなにも思いうかばず、毎日、梅干しご飯やお茶漬けなど、何とか食べられそうなものだけ食べていますが、胸のムカつき、吐き気が特に強まる夜は、何も食べられません。
そんな生活が続いたおかげで、体重が一気に3kgほど減ってしまいました。
こんな状態でお腹の赤ちゃんに悪影響がないか、とても心配です。
両親もとても心配して、とにかく食べろ食べろと色々すすめてきますが、それも苦痛です。
妊娠中に必要な栄養がちゃんと足りているのかとか、今のままでちゃんと産後、母乳が出るかどうかとか、とにかく色々考えてしまいます。
悪阻がひどくても、母子共に必要な栄養をうまく摂る方法があれば教えてほしいです。
まずは、妊娠おめでとうございます!
喜びも大きいですが、初めての妊婦生活で戸惑う事、不安もたくさんですよね。
特に妊娠初期の悪阻といったら、、、私も思い出すだけでゲッソリです(笑)
そんな時に、お腹の赤ちゃんのことまで思いやって、食事をどうすべきか考えられるなんて、もうすっかりお母さんですね。
すばらしいと思います。
母体の健康・栄養状態を落とさずに、どう悪阻の時期を乗り切るか、出産に向けてどんな食生活に気を付ければいいかなど、アイデアを紹介します。
・「2人分食べる」など、妊婦はたくさん食べるべきという説は過去の話
・好きなものを、食べたい時に、少量ずつ食べられればよい
・妊娠初期は胎児がまだ小さく、それほど多くの栄養素を必要としていないから焦らない
・温かい料理はにおいが気になりやすいので、冷ましてにおいを抑えて食べてみる
・固形物が喉を通らない場合でも、水分補給には気を付け、白湯やミネラルウォーター、スポーツドリンクなどをこまめに飲む
・ノンカフェインで栄養価の高いお茶(ルイボスティー・コーン茶・タンポポ茶)を常飲してみる
・妊娠初期に摂取が勧められている栄養素「葉酸」は、下記食材やサプリメントで摂取する
→緑黄色野菜(ホウレンソウ・ブロッコリー・アスパラガス)、さつまいも、いちご、納豆など
まず言えることは、あまり妊娠初期、悪阻の辛い時期に、食事の量や栄養に対して神経質にならない、ということです。
きっと妊婦健診で担当医からも、「食べられる時に食べればいい」と言われていると思います。
あまりにも急激に体重が落ちてフラフラで貧血だとか、嘔吐がひどくて脱水症状があるとか、よっぽどの場合は、一旦入院し、点滴を受けるようすすめられるはずです。
そこまででない限りは、あまり心配せずに、心身共に休めながら悪阻の時期が過ぎ去るのを待ちましょう。
また、昔は「妊婦は2人分食べるものだ」なんて言われていた時期があったようなので、ご両親は色々食べさせたがるのかもしれません。
今はそんなことはなく、あまり体重が増えすぎるのも問題とされていますので、ご両親にもそう理解してもらいましょう。
ただ一つ、ビタミンの仲間である葉酸は、不足すると胎児の脳や脊髄のもととなる神経管がうまく形成されにくいと言われています。
紹介した食材や、葉酸が添加された食品、サプリメントなど色々ありますので、うまく利用して摂取しましょう。
・悪阻が落ち着いたら、貧血を防ぐため鉄分補給ができる食材をよく食べる
→赤身の肉、レバー、魚、ホウレンソウ、のり、ひじきなど
・赤ちゃんの骨を丈夫にする栄養素(カルシウム、ビタミンDなど)の摂取を心がける
→煮干し、牛乳、ごま、チーズ、鮭、キノコ類など
・魚介類はまれに高濃度の水銀を含んでいる場合があるので、毎日同じ種類の魚を偏って食べないようにする
・免疫力の低下で食中毒になりやすいので、生ものはできるだけ避けた方が良い
・旬のもの、素材の良さを生かした料理を食べ、レトルトやジャンクフードは極力少なくする
悪阻が落ち着くと、一気に食欲がわいて、急激な体重増加が心配です。
反動で食べすぎることなく、タンパク質、ビタミン、ミネラル、食物繊維と、バランスを常に心がけて食べるよう気を付けましょう。
立ちくらみや貧血がある方は、鉄分の摂取を心がけるとともに、鉄の吸収率を高めるために、タンパク質、ビタミンCの摂取も合わせておこなってください。
また、妊婦は便秘になりやすいと言われています。
根菜、キノコ類、海藻類、ヨーグルトなどを食べて、便秘がひどくならないよう気を配りましょう。
中期からは、お腹の中の子の食育がスタートしていると考え、偏った食生活、ジャンクフードなどは避け、できるだけ様々な食品をバランスよく食べていきましょう。
まれに悪阻がなかなか改善しない方もいます。
その場合は、あまり神経質に「食べなければならない」と考える方がストレスになるため、初期の頃のように、自分ができる範囲の食生活でかまいません。
個人的に、妊娠中はより本能的な感覚が研ぎ澄まされると思うので、あれが食べたい、これは食べたくないなど、直感的に自分が感じた感覚を大事にするといいかと思います。
・ナトリウム(塩分)が体内に蓄積しやすくなるので、料理は薄味を心がけ、妊娠高血圧症を予防する
・砂糖たっぷりの甘いお菓子類は控えめにして、太り過ぎに注意する
・お肉の脂身など動物性脂肪は避け、ささみや赤身など脂肪の少ない部位を選ぶ
妊娠後期は、中期以降から心がけているようなバランスの良い食事をするとともに、血圧や血糖値に注意が必要な時期です。
中には、お腹が大きくなり、胃が圧迫されてなかなか食べられないという人も増えてくると思います。
その場合は、ゆっくり食事をしたり、少量ずつ1日4食くらいにして食べるなどするといいですね。
ママの体型や、赤ちゃんの大きさによって差はありますが、母体と胎児の適正体重増加はだいたい10kg前後です。
臨月で母子ともに順調であれば、ウォーキングなど適度な運動もできます。
ダイエットのように厳しく食事制限をするのではなく、しっかり食べて運動もする、といった気持ちで、楽しくマタニティライフを送れるといいですね。
(2014/1/22 食育指導士・相楽まりこ)