相談者:母(27歳)
子供:娘(9ヶ月)
相談内容:生後6ヶ月頃から娘の離乳食をスタートしたのですが、この先のメニューをどうすればいいのかで悩んでいます。
というのも、私がアレルギー体質で、娘にもアレルギー体質が遺伝しているからです。
母乳で育てていた頃から顔や体に発疹が出ることがあり、かかりつけの小児科医に、卵を控えるように言われてきました。
今のところ、お米や野菜、白身魚のすり身などをあげていますが、そろそろレパートリーを増やしたいと思っています。
とりあえず1歳過ぎるまで卵は控えるつもりですが、小麦や乳製品などその他のアレルギーを起こしそうな食品についてはもう少し早くからあげたいと思うのですが、不安もあってまだ離乳食に使用していません。
この先どうアレルギーの食品と付き合っていけばいいのか、教えてください。
初めての離乳食作り、分からないことだらけで大変ですよね。
加えて、アレルギーが疑われているお子さんだと、尚更気を遣うと思います。
アレルギーに関しては、私の友人ママたちの間でもある出来事がありましたので、少しお話したいと思います。
私の友人AとBは、共に3歳になった女の子のママです。
2人とも同じ小児科がかかりつけで、1歳の時、子どもにアレルギーがあると2人とも医者に言われ、除去食を始めました。
友人Aは医者に言われるがまま、卵、小麦、牛乳など、あらゆるアレルギー物質を完全に除去し続けました。
友人Bは、最初は除去していたものの、なんとか克服できないものかと2歳になる頃、別の医者を訪ねました。
そこから徐々にアレルギー物質に慣らしていく食事療法に切り替え、アレルギーだった卵も様子を見ながら少しずつ食べさせるようにしていきました。
そして、3歳になった時、久々に友人一同で集まる機会があり、アレルギーの話題になりました。
友人Aは、子どもが食べられるものが少なすぎる、もうすぐ始まる幼稚園も1人だけ給食じゃなく弁当だ、小麦の代わりに全て米粉を使っている、外食した時にうっかり食べさせたものでアナフィラキシーショックをおこした話など、食生活が大変だと言いました。
一方、友人Bの子どもは3歳になる頃、無事に卵も克服し、今では何も気にすることなく食べさせることができると話ました。
友人Bの話を知った友人Aは、主治医を変え、今までの完全除去食を見直し、小麦、乳製品などの食事療法を始め、じきに食べられるようになりました。
卵アレルギーだけはまだ残っていますが、それも徐々に慣らしはじめているとのことでした。
友人Aが友人Bの話を知らずに、ずっと除去食を続けていたらどうなっていたのでしょうか。
きっと親子でとても苦労したことでしょう。
この話から、アレルギー体質のお子さんがいる場合は、ただ除去を続けるだけでなく、アレルギー克服を目指し徐々に慣らしていく食事療法の存在を知っておくことが大切だということが分かります。
では、今回の質問の回答として、アレルギーの基本的情報や、アレルギーが疑われる子の離乳食をどう進めていくか、まとめたいと思います。
・乳幼児期のアレルギーの原因は、卵、牛乳、小麦、大豆に起因することがほとんどで、腸の消化能力の発達など成長に伴い2~3歳で耐性を獲得するケースが多い
・症状は、皮膚や呼吸器系に出ることが多く、その他にも、目や消化器系にあらわれる場合もある
・即時型食物アレルギー(食物摂取後数分から2時間以内に症状があらわれる)と非即時型食物アレルギー(摂取後2時間以上、1~2日後にあらわれる)と、2つのタイプがある
・アトピー性皮膚炎を合併しているケースが多い
・正しい原因アレルゲン診断を行い、食品除去は最小限にとどめ、摂取可能な食品はできるだけ摂取する
・原因となる食品の回避を続けるだけでなく、耐性獲得をめざし、症状を起こさずに食べられるようになることが大切
・離乳食の開始自体を極端に遅らせる必要はない
・食物アレルギーを起こす原因食品の卵、乳製品、小麦に関しては開始を遅らせる
・基本はお粥や野菜をすりつぶしたものを1品ずつ増やしていく
・続いて魚を開始し、魚の種類が増えてきたら肉類を開始する
・続いて豆腐などの大豆製品を、様子を見ながらスタートしていく
・2回食、3回食と食事回数が増えてきたら小麦も使い始めていく
・続いて卵を卵黄のみからスタートし、最終的に卵白も使えるようにしていく
・加工ベビーフードを使う場合は食品表示に注意する
アレルギー反応が不安で、離乳食をなかなか開始しない母親がいるという話もたまに聞きますが、離乳食を遅らせることは、顎の発達や咀嚼力の発達自体も遅らせる可能性があります。
栄養面の不足も心配です。
卵、乳製品、小麦のスタート時期に注意するだけで、離乳食自体の開始を遅らせる必要はありません。
・基本的に新鮮な食材を使い、特に魚介類は鮮度が落ちたものを与えないよう注意する
・野菜に含まれる灰汁は丁寧に取り除くなど、基本の下ごしらえを怠らない
・生の食品はアレルギーを起こしやすいので、アレルゲン性の高い食品ほどよく加熱調理する
・食品添加物に反応する場合もあるため、できるだけ添加物を含まない食品を選ぶ
最後に、アレルギー原因食品となりうる卵、乳製品、小麦それぞれの調理による低アレルゲン化の方法、食べ方の工夫についてまとめます。
主治医と相談しながら除去の程度を決め、成長とともに少しずつ取り入れていきましょう。
・加熱することでアレルゲン性が低下しやすいので、確実に火を通す
・主なアレルゲンは卵白中に含まれているので、卵黄からスタートし、卵白の混入に注意する
・卵が摂取できないうちは、魚や肉類、大豆などでタンパク質を積極的に補う
・ハムや練り製品などの加工食品にはつなぎに卵白が使われているものが多いので注意する
・アレルギー用の粉ミルクを積極的に調理にも使用していく
・料理に使うバターやマーガリンにも注意し、食物油を使うようにする
・小麦アレルギーは卵や牛乳など複数のアレルギーを伴っているケースが多い
・加熱しても低アレルゲン化されにくいが、発酵されることでアレルゲン性がほとんどなくなる
・低アレルゲン化した小麦を使用した商品も市販されているので、アレルギー反応の程度によっては取り入れも可能
・小麦粉の代わりに米粉や片栗粉を使った料理を取り入れることができる
(2014/8/15 食育指導士・相楽まりこ)