◆中林茂雄
株式会社箸久代表取締役。
1956年、群馬県桐生市生まれ。
趣味はアウトドア。休日には、ソロキャンプや川釣りを友人と楽しんでいる。
写真の方が、群馬県の箸職人・中林さんです。
中林さんの箸は、すべて手作り。
完成までに数年かかるものもあるそうです。
今回は、手しごと本舗(楽天市場)で販売する箸の素材や箸へのこだわりなどについて、たっぷりとお話をお伺いしてきましたので、ぜひご覧ください。
インタビュアーは、5歳の女の子を持つママさん編集者・峰岸さんです。
中林さんの親子箸
峰岸
今日は、中林さんのお箸へのこだわりや、仕事をするうえで大切にしていることなどを聞かせてください。
中林
はい。
よろしくお願いします。
峰岸
じゃあ、まずは親子箸の原料について教えてください。
かなり希少性の高い木材なんですよね?
中林
そうです。
青黒檀とスネークウッドなんですけど、どちらも最高級といわれる木地ですね。
峰岸
黒檀というと、高級木材でお仏壇なんかに使われるイメージがあります。
中林
そうですね。
黒檀は、昔から、高級建築や器具などに用いられることが多いですね。
磨くと光沢が出て重厚感もあるから、箸の木地としても珍重されてきました。
青黒檀というのは、そんな黒檀の中でも、青緑色を帯びた、特に美しい材面を持つもののことをいいます。
峰岸
本当、きれいですね。
深い青緑が印象的。
中林
そうでしょう。
青黒檀の箸です。
峰岸
スネークウッドもきれい。
木目が素敵ですね。
中林
スネークウッドは、名前の通り蛇のような模様が特徴の木地で、木自体に希少価値があります。
とても珍しい。
その中でも、きれいな木目になっている部位というのは、本当に貴重になってくるんです。
なかなか採れません。
峰岸
そうなんですか。
中林
市場に出回ることは、ほとんどないですよ。
大げさでもなんでもなく「銘木中の銘木」と言っていいと思います。
峰岸
美しいだけじゃなく、希少価値もあるんですね。
中林
そういうことです。
スネークウッドの箸です。
峰岸
次は、製作の工程についても教えてください。
中林
まずは、材料の木を板の状態で材木屋から買い付けます。
その板を切って、かまぼこ板位の大きさにします。
それからお箸の原型に切っていくわけですが、貴重な木地の無駄を省く工夫として、長方形の中にお箸を1膳とれるような形に裁断します。
それを小割といいます。
小割の状態で3年くらい乾燥させるために寝かせます。
乾燥中の子割です。
峰岸
3年も木を乾燥させるんですか?
中林
そうです。
含水率というんですが、切ったばかりの生木で水分量が多いと、乾燥するにつれ反り上がったり、寄りが出てきてしまうことがあるんです。
逆に渇きすぎても、割れやヒビが入ってしまいます。
峰岸
難しいんですね。
中林
はい、難しいです(笑)
峰岸
木の種類によって、乾燥させる期間とか、反りが出る出ないとかの違いってあるんですか?
クセがあるとか、ないとか。
中林
そうですね。
木地によってありますね。
紫檀(したん)なんかは非常に反りが出やすいですね。
数年後に箸になります。
峰岸
一番難しいのは木が反ることですか?
中林
やはり商品となる大切なものですから反りは嫌ですね。
峰岸
乾燥させすぎても駄目なんですよね?
中林
そうです。
含水率でいうと、大体10とか15%位が適しています。
冬場と梅雨時でも違いますが、根本的には、一度、水分が蒸発した状態で置いておいても多少の前後はあります。
加工後に漆を塗っていけば、乾燥もしなくなるので反りは少なくなります。
峰岸
手作業で漆を塗るんですよね?
すごい手間ですね。
中林
まぁ、手間は手間ですね。
ひとつひとつ手作業でやりますからね。
峰岸
すべて手作業されてるんですもんね。
中林
メンテナンスなんかもすべて手作業ですよ。
毎日使うものなので、使っているうちに、だんだん漆が剥げてくるんですね。
漆は塗り直しをすることで蘇ります。
峰岸
天然の漆にこだわっていらっしゃるそうですね。
漆にも種類があるんですか?
中林
色漆とか下地用とか種類がいろいろありますね。
峰岸
そうなんですか。
工程によって、漆も使い分けていらっしゃるんですね。
中林
そうです。
峰岸
食べるものに使う食器の箸だからこそ、安全安心なものを提供したいですよね。
中林
ええ。
この親子箸は、天然の漆100%で仕上げていますから安心してください。
峰岸
今日は、ありがとうございました。
今、お箸が上手に持てない人が増えていますよね。
親の世代でも、お箸離れというか、和食離れというか、食卓でもお箸で食べない食事が増えています。
食事を用意するお母さんも、簡単なので、朝はパン、昼はパスタ、夜だけ焼き魚、みたいな。
中林さんのこだわりのお箸を使うことで、食生活も見直すいいきっかけになるといいですね。
中林
それと、最近は親子のコミュニケーションが減ってきています。
箸の使い方を手取り足取り教えるとか、箸を通して親子のコミュニケーションを伝えられたらいいなと思っています。
取材日:2013年7月2日
取材場所:群馬県前橋市 箸久の工房
いかがでしたか?
素材のお話や制作工程のお話、天然の漆100%へのこだわりなどを聞いていると、やっぱり高いものには高いなりの理由があるんだなと考えさせられました。
なお、中林さんのスネークウッドと青黒檀の親子箸は、手しごと本舗(楽天市場)でご購入いただけます。
(2013/7/24 編集長・おかざき)